餓鬼草子は、平安時代末期から鎌倉時代初期に描かれた絵巻物です。餓鬼とは、生前に、欲望のままに悪い行いをした報いにより、常に飢えや渇きの苦しみに悩まされる死者の霊のことです。ここに紹介する餓鬼草紙は、東京国立博物館所蔵のもので、伝えられてゆくうちに、絵に付けた詞書が失われていて、各場面がなにを表しているかには諸説があります。なお、本作はもともと、後白河法皇がつくらせ、三十三間堂で有名な京都・蓮華王院の蔵で保管されていた「六道絵」の一部と推定されています。
ここでは、一つながりの絵巻を場面ごとに分けています。現物は、縦が26.9センチと小さく、見やすいように2倍に引き伸ばして展示しています。