歩き始め(ミレーによる)
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ
1889年
油彩
91.2cm × 72.4cm
サン=レミの精神病棟滞在終わりごろの冬、彼は何度かの発作を続けて起こしており、外へ出られず建物内にこもっていた期間が長くあったようです。あるいは、冬で天候の悪いときもあったでしょう。そんなとき彼は、療養所内に特別に許されたアトリエで、先人たちの油絵やエッチングの写真を使って、これを彼なりの解釈で模写をする仕事をして、「自由な解釈」による模写の傑作を多く残しました。本作はその一つで、ミレーのスケッチ画から取ったものです。これらの模写は、この時期に30点以上描かれましたが、そのうちの21点が、ゴッホが最も尊敬する画家ミレーによるものでした。本作は、ミレーによる薄い色を乗せたスケッチ画を元にして、油絵で色を乗せたものですが、オリジナルの色彩と異なっていて、自由な色彩で描かれています。