ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ (MET)

 
ニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)が公開しているヴィンセント・ヴァン・ゴッホのデータコレクションを展示しています。彼が南仏のアルルで鮮やかな色彩に目覚めた後の作品を選びました。
 
 
糸杉
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ
1889年
油彩
74cm × 93.3cm

ゴッホが南仏のサン・レミの精神療養所に入っていたときに描かれた絵です。糸杉は彼のこの時代における重要なモチーフのひとつですが、この絵は、そのもっとも初期にあたる作品です。
 
 
ルーラン夫人と赤ん坊
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ
1888年
油彩
51.1cm × 63.5cm

南仏のアルルで描かれた肖像画です。ここアルルでゴッホは鮮やかな色彩に目覚め、次々と色彩に溢れた傑作を生みだします。この作品は、彼と家族ぐるみで付き合いのあったルーラン一家に生まれた子供とルーラン夫人を描いたものです。
 
 
歩き始め(ミレーによる)
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ
1889年
油彩
91.2cm × 72.4cm

サン=レミの精神病棟滞在終わりごろの冬、彼は何度かの発作を続けて起こしており、外へ出られず建物内にこもっていた期間が長くあったようです。あるいは、冬で天候の悪いときもあったでしょう。そんなとき彼は、療養所内に特別に許されたアトリエで、先人たちの油絵やエッチングの写真を使って、これを彼なりの解釈で模写をする仕事をして、「自由な解釈」による模写の傑作を多く残しました。本作はその一つで、ミレーのスケッチ画から取ったものです。これらの模写は、この時期に30点以上描かれましたが、そのうちの21点が、ゴッホが最も尊敬する画家ミレーによるものでした。本作は、ミレーによる薄い色を乗せたスケッチ画を元にして、油絵で色を乗せたものですが、オリジナルの色彩と異なっていて、自由な色彩で描かれています。