印象派絵画(MET)

 
ニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)が公開している印象派絵画のデジタルデータの中からいくつかを選んで展示しています。作家名は、エドゥアール・マネ、クロード・モネ、ポール・ゴーギャン、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホです。
 
 
スペインの歌手
エドゥアール・マネ
1860年
油彩、キャンバス
147.3 cm × 114.3 cm
メトロポリタン美術館蔵

この作品は、マネがまだ若いころの作品で、スペインのディエゴ・ベラスケスのスタイルの影響がはっきりと分かります。マネはこの絵の高い評判のおかげで、1861年にパリのサロンで初めて受け入れられることになります。色彩と実在感、そして高いリアリズムは、ボードレール、ゴーティエなどからも高い評価を受け、この成功によりマネは、先進的画家グループのリーダーになります。なお、このモチーフは、画家のスタジオでモデルと小道具を使った創作で、現実のギター弾きではなかったそうです。
 
 
睡蓮
クロード・モネ
1906年
油彩、キャンバス
89.9 × 94.1 cm
シカゴ美術館蔵

モネの有名な睡蓮の連作のひとつです。モネは30歳のころから睡蓮を描き始めますが、ここにあげた睡蓮は彼がすでに60代の後半になって塗った画布です。ここではすでに水平線も地平線も排除されていて、ただただ睡蓮の漂う水面とそこに写り込んだ木々の織り成す光の模様があるのみになっています。モネの主題に対する飽くことない探究が結晶した傑作です。
 
 
No te aha oe riri (あなたはなぜ怒るのか)
ポール・ゴーギャン
1896年
油彩、キャンバス
95.3 × 130.55 cm

1895年の秋にタヒチに戻ったゴーギャンは、体調を崩し、さらに財政難に悩まされました。それにもかかわらず、1896年から97年には、彼は通常の作品よりも大きな画布で印象的な作品グループを生み出しました。この「あなたはなぜ怒るのか」は、タヒチでの初期の作品で、絵画のムードが従来から変化しています。題名は、見る者にある物語を見出すことを求めているようですが、主要人物は互いに離れ、彼らの内的な意味を解釈するのは困難です。むしろ、そうした意味的な解釈をコンポジションそのものが拒否しているようにも感じられます。