フランシスコ・デ・ゴヤ

 
ゴヤは、18世紀から19世紀にかけて活躍したスペインの画家です。ディエゴ・ベラスケスと共に、スペインの生んだ最大の画家と呼ばれています。ここでは、メトロポリタン美術館とシカゴ美術館から油絵とエッチングを選んで展示しています。
 
 
子羊に乗る少年
フランシスコ・デ・ゴヤ
1786-87年
油彩、キャンバス
127.2 × 112.1 cm
シカゴ美術館蔵

スペインの正規の宮廷画家に就任する前のゴヤは、王宮を飾るタペストリーのデザインの制作などを手がけていました。この油絵は、そのタペストリーのデザインのためのもので、織工のガイドとして実物大に描かれています。タペストリーのためというのもあり、色彩はロココを思わせるカラフルで愛らしい作品に出来上がっています。これは、ゴヤ40歳の時の作品です。ゴヤの世界的に有名な画布や、奇怪な絵の数々は、これより後の宮廷画家になってからのものです。
 
 
マラガートから銃を奪う修道士ペドロ
フランシスコ・デ・ゴヤ
1806年
油彩
29.2×38.5 cm
シカゴ美術館蔵

この小さな油絵は連作で、マラガートという当時有名な山賊が、あるとき人質を取って立てこもっているところへ、入って行った修道士のペドロにやられてしまうところを描いています。ペドロが持って入った靴をマラガートに渡す隙をつかんで、マラガートの銃を奪い取り、殴りつけ、銃を発射します。そうして動けなくなったマラガートを縄で縛っています。
 
 
なんたる犠牲!(ロス・カプリチョス)
フランシスコ・デ・ゴヤ
1799
エッチング・ドライポイント・アクアチント
19.8 x 14.8 cm
メトロポリタン美術館蔵

この版画は、ロス・カプリチョスという全部で80点ある連作の中のひとつです。ロス・カプリチョスとは「気まぐれ」という意味で、ありとあらゆる奇怪で滑稽な風景が次から次へと描写されています。ここにあげた作では、脚が曲がって背中に瘤のできた醜い貴族の男に、うら若い女性が差し出されています。いかにも淫らそうに女に近寄る好色な男が見飽きませんね。周りの連中は、女を差し出す側だったり、差し出される側だったりするのでしょう。さまざまなしぐさと表情をしています。